期限内に相続登記できない!そんな時のための相続人申告登記について相続専門の司法書士が解説

みなさんこんにちは。須賀川市で相続を専門に取り扱っています司法書士の黒田匠です。

昨年より義務化となった相続登記。いざ手続きをしようと思ってもスムーズにいかず、あっという間に申請期限が来てしまうことも。

今回はそういった際に比較的簡易な手続きで義務の履行だけを行える、相続人申告登記についてご説明します。

この記事を読むと分かること

・相続人申告登記とは何か

・手続きの方法、必要な書類

・どういった方が相続人申告登記をするべきなのか

目次

相続人申告登記の概要

相続登記を行う場合は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍や、相続人に関する書類などを集める必要があります。

しかし、この書類収集作業や、その後の遺産分割協議などが円滑に進まず、期限内(3年以内)に相続登記の申請をすることが難しい場合が出てくることがあります。

そういった場合のために、簡易に相続登記義務の履行ができる制度が「相続人申告登記」です。

相続人申告登記は通常の相続登記よりも簡単に義務を履行できますが、一方で以下のような注意点があります。

相続登記とは別物であるため、相続した不動産を売却したり、不動産に抵当権を設定したい場合には改めて相続登記を申請する必要がある。
遺産分割に基づいた相続登記の申請義務の履行はできない

売却などのためには別途相続登記の申請が必要

不動産登記というものは、例えばその不動産の所有権が、誰にどういった順番で移り変わったのかを公示するための制度です。

相続人申告登記は、申告者に所有権が移ったことを公示するものではないため、売却などで他の方へと所有権を移したい時には、相続人申告登記とは別に相続登記を改めて申請する必要があります。

遺産分割に基づいた相続登記の申請義務の履行はできない

相続人申告登記は不動産登記法に根拠条文が載っていますが、その中で、遺産分割ができている場合には相続人申告登記をしても義務の履行を果たしたことにならないとされています。

これは、既に遺産分割までできている状態ならば、相続登記を行ってほしいとの意向があると考えられます。

実際にこういったケースで相続人申告登記をするメリットはほとんどないと考えられます。

申告の手続き

相続人申告登記をするためには、必要な戸籍などを収集して、申出人が相続人であること等を登記官に申し出る必要があります。

登記官は、申し出を受けた後、所要の審査を行って登記簿に申出人の住所や氏名を登記します。

相続登記と違って以下の特徴があります。

  • 複数人で相続している不動産であっても、特定の相続人のみで申し出を行える
  • 申し出の手続きにおいて、押印や電子署名が不要
  • 法定相続人の範囲すべてを証明する必要がない(提出する書類が少ない
  • 登録免許税がかからない

提出書類

相続人申告登記をするにあたって必要となる書類は以下のとおりです。

1.申出書(法務省HPよりダウンロードできます)
2.申出人が相続人であることが分かる戸籍など
3.申出人の住所を証する情報
4.委任状(代理人が申し出をする場合)

2.については、亡くなった方と相続人の関係によって戸籍の収集範囲が変わってきます。
3.についてはいわゆる住民票の写しなどが該当します。

相続人申告登記をすべき場合

ここまで相続人申告登記の概要や手続きの方法、必要書類などを説明してきました。

では、どういった方がこの手続きを申告するべきなのでしょうか。

以下のような状況にある方は相続人申告登記を考えてよいかと思います。

  • 何代も前の方の名義になっている不動産を相続する場合
  • 相続人が何十人にもなってしまい、遺産分割協議がまとまりそうにない場合
  • 相続人の間で争いがあり、調停や訴訟などに発展している場合

何代も前の方の名義になっている不動産を相続する場合

不動産の所有者が何代も前の方のままになっている場合、相続人が誰かを調査するところから始まります。

しかし、こういったケースでは調査自体にかなりの時間を費やすこととなってしまい、期限内に相続登記をすることが難しい場合があります。

また、次でもお話しするように、相続人が多数にわたってしまい、相続人の範囲が確定しても、その後の話し合いに時間がかかってしまうことが多々あります。

そのため、上記のケースでは相続人申告登記も選択肢のひとつとなりそうです。

相続人が何十人にもなってしまい、遺産分割協議がまとまりそうにない場合

相続人の数が増えてくると、その分だけ遺産分割協議も時間がかかりがちです。

また、遠方に住む相続人などがでてきやすく、そういった場合には郵送でのやり取りが必要となったり、そもそも相続人の足取りが掴めないこともあったりします。

こういったケースも期間内の申請が難しいことが多いため、相続人申告登記が視野に入ります。

相続人の間で争いがあり、調停や訴訟などに発展している場合

誰が何をどのくらい相続するかで揉めることはそう珍しくありません。

話し合いがまとまらない場合には弁護士が介入し、遺産分割調停や訴訟に発展することもあります。

訴訟には通常半年程度かかるため、この場合も期間内の申請が難しいです。

おわりに

いかがだったでしょうか。相続人申告登記について簡単にまとめると以下のとおりとなります。

・簡易な手続きによって相続登記の義務を履行できる
・相続人から他の方へ売却する時には別途相続登記が必要
・申告には戸籍などが必要になるが、相続登記と比べて必要書類が少ない

相続人申告登記は比較的簡単な手続きで相続登記義務の履行ができます。

ただ、亡くなった方との関係によっては必要書類が複雑になることもあります。

当事務所では相続人申告登記を含めた相続の相談に対応しておりますので、お困りの際にはお気軽にご相談・お問い合わせください。

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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